マルヤ通商株式会社
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自動車塗装の基礎

(1) 塗装の目的

塗装とは、物体の保護・美観・表示などのために、塗料によって物体の表面を被覆することを言います。 また、塗装を行なう目的としては、次の 4つが考えられます。

@  物体の保護

自動車を構成している主材料は、そのほとんどが鋼板ですが、鋼板のままでは空気中の水分や 酸素と反応して錆が発生します。塗装することにより、錆の発生が防止でき、このことにより物体を保護することが、塗装の最大の目的です。

A  物体の美観向上

自動車の形状は、立面、平面、曲面および直線、曲線と多種の面や線を持っています。

このように複雑な形状の物体に塗装して、立体的な色彩感を与えることにより、自動車の美観を向上させることも、塗装の目的の一つです。メタリック塗装・パール塗装も多く用いられます。

B  商品価値の向上

同一形状、同一性能を持った自動車を比べたとき、美しく塗装されている方が良く見え、商品としての価値が向上します.塗装することにより,商品価値の向上を図ることも、塗装の目的の一つです。ツートンカラー・ライン塗装・デザイン塗装も商品価値の向上になります。

C  塗装による表示等


消防車やパトカーなどを、その車輌に適した色に表示して識別しやすくするのも、 塗装の目的の一つです。

(2)塗料の成分

塗料の成分表

塗料の成分表2

 

(3)顔料
無機顔料  ホワイト、オーカー、インディアンレッド、エロー、ブラック、メタリックベース

有機顔料  スカーレット、フタロシャニングリーン、ブルー、シンカシャレッド、グリーンゴールドその他

 

 

着 色 顔 料 白顔料 チタン白、亜鉛、リトボン
赤顔料 カドニウム赤、ベンガラ、トルイジンレッド、キナクリドンレッド
黄顔料 黄鉛、鉄黄、チタン黄、ファストエロー、アントラキノンエロー
緑顔料 酸化クロム、フタロシャニングリーン
青顔料 紺青、群青、フタロシャニンブルー
黒顔料 カーボンブラック、鉄黒、グラファイト
金属粉顔料   アルミニウム粉、ブロンズ粉、MIO
体質顔料   白亜、バライト粉、タルク
つや消し顔料   合成シリカ粉
    アスベスチン、パールマイカ
さび止め顔料   鉛丹、酸化亜鉛、亜鉛末、亜鉛化鉛、クロム酸鉛、塩基性クロム酸鉛、シアナミド鉛、塩基性硫酸鉛、鉛酸カルシウム
毒性顔料   亜酸化銅、黄色酸化水銀
染   料   ブルー、レッド、エロー、ブラック、グリーン、ブラウン
(4)樹脂
名    称 成    分



ニトロセルロース(NC)ラッカー
アクリルラッカー(変成アクリルラッカー ・ストレートアクリルラッカー

NC+アルキッド樹脂
NC+アクリル樹脂
CAB+アクリル樹脂




アクリルウレタンラッカー
アクリルウレタン
アクリルシリコン
アクリルエナメル
アクリル樹脂+イソシアネート樹脂硬化剤
アクリル樹脂+イソシアネート樹脂硬化剤
アクリルシリコン樹脂+湿分
アクリル樹脂+アルキッド樹脂


焼付メラミン
焼付アクリル

メラミン樹脂+アルキッド樹脂
アクリル樹脂+メラミン樹脂

CAB…セロソルブ・アセテート・ブチレート

樹脂の分類 ・天 然 樹 脂……主に植物より析出分泌されるもの(ロジン、セラック)
・セルロース誘導体……天然セルロースをニトロ化したもの(消化綿)
・合 成 樹 脂……多くの化学原料から化学反応で合成されるもの

合成樹脂 ・熱可塑性とは……熱によって軟化するもの
・熱硬化性とは……熱を加えることにより化学反応を起こし、冷却後は過熱しても軟化しないもの

セルロース誘導体ニトロセルロース

ニトロセルロースラッカー
アクリルラッカー
ハイソリッドラッカー

セルロース誘導体に合成樹脂を混合し、溶剤に溶かしたもので、速乾性があり、光沢・耐候性が良い
合成樹脂 アクリル樹脂 熱硬化アクリル樹脂塗料

変色が少なく、耐候性・光沢・耐薬品性が良い。
自動車(新車)・家電製品・カラートタンなどに適応する。

アルキッド樹脂 フタル酸樹脂塗料 光沢、作業性がよく、機械・農機具などに適する
メラミン樹脂 アミノアルキッド樹脂塗料 焼付乾燥を必要とし、光沢・硬度が良い。
自動車・家具製品などに適する。
ポリエステル樹脂 ポリエステル樹脂塗料 スチレンに溶剤を溶かして使用する。ときに硬化剤(過酸化物)を加えてパテに用いる。
厚塗りができる。
イソシアネート樹脂 ポリウレタン塗料 ハイソリッドで、耐候性・耐薬品性が良い。
自動車補修に適する。
エポキシ樹脂 エポキシ塗料 密着性に優れ、下塗り塗料に用いられることが多い

(5)溶剤

溶剤とは、一般に生塗料に混合使用します。シンナーとは、生塗料の粘度調整などに使用する混合溶剤の呼称です。
シンナーは蒸発し塗膜となって残りませんが塗料を最適の塗装粘度まで希釈して、スプレー作業の効率、レベリング仕上りを得る上で重要な役割をします。
したがって、先にのべてきました様々な性質の塗料に合ったシンナーを選択し使い分けて行くことが大切です 。


@ 溶剤
真 溶 剤・・・・・単独で樹脂を溶解する性質のあるもの
助 溶 剤・・・・・単独では樹脂を溶解しないが真溶剤と併用すると溶解力を示すもの
希 釈 剤・・・・・樹脂に対する溶解が非常にすくないもの

A 溶剤の蒸発速度
低沸点溶剤
沸点100℃以下のもの
…アセトン・メチルエチルケトン・メチルアルコール…
中沸点溶剤
沸点100〜150℃のもの
…トルエン・キシレン・ブチルアルコール・酢酸ブチル…
高沸点溶剤
沸点150℃以上のもの
…ブチルセルソルブ・グリコール…

主な溶剤の特性と塗料別仕様例
  小 → 溶解力 → 大  
  鎮状系
炭化水素
混合系
炭化水素
芳香族
炭化水素
アルコール ケトン
エステル
グリコール
エーテル
 


 

 





 

 

ガソリン







ミネラルスピリット




白灯油








ハウス

スワゾール



トルエン

キシレン



ソルベット#100

メタノール

エタノール
イソプロピルアルコール



ブタノール





ジアセトンアルコール
アセトン

MEK
酢酸エチル
MIBK

酢酸ブチル


アノン

セロソルブ
アセテート









エチルセロソルブ



ブチルセロソルブ

 

 




 

 

沸点100℃以下 沸点100℃〜150℃ 沸点150℃以上
アルコール メチルアルコール
IPA
ブチルアルコール  
エステル 酢酸エチル 酢酸ブチル  
ケトン MEK
アセトン
MIBK DIBK
エーテル   エチルセロソルブ  
芳香族
炭化水素
  トロール
キシロール
 
脂肪族
炭化水素
石油ベンジン ソルベントナフサ

 

(6)助剤

塗料の構成材料の中で数%の添加で、機能、性能をより一層ひきだす事を目的に加える材料です。

@  可塑剤

塗膜に柔軟性をあたえ屈曲性や衝撃性を向上さす為に加える物質。セルロース系塗料やビニール系塗料にはよく用いられる。ジベチルフタレート (DBP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)は代表的可塑剤です。

A 乾燥剤

ドライヤーとも呼ばれ油性系塗料の乾燥を促進する為に加える物質。主成分は鉛、マンガン、コバルトなどの金属石けんがあり、最近ではリノール酸塩、ナフテン酸塩の塩類が用いられます。ノリ状のものと液状のものがあります。

B  レベリング剤

塗られた塗料が流動してはけ目、ゆず肌、うねりなどが消えて平らになる事をレベリングと言い、その効果を有する材料をレベリング剤と呼びます。
多くはシリコーンオイル (SiRR'O)を有機溶剤でうすめて塗料に微量添加します。

C  紫外線吸収剤

塗膜に日光中の紫外線があたると、ツヤ引け、クラック、変色等劣化が起ります。その為塗料に添加して入ってくる紫外線を吸収して他のエネルギーに変えることによって、塗膜の劣化を防ぐ目的で 使用されます。ベンゾトリアゾール誘導体が代表的です 。

D 色分かれ防止剤

色相の異なる原色を混合して、調色する場合、成分顔料の大きさ、比重、凝集政党の相違により、表層と下層が違う色を呈する現象を色別れと呼び、この防止の為に微量添加する材料です、シリコーン樹脂、界面活性剤等が用いられます。

E 沈殿防止剤

塗料中の顔料が樹脂、溶剤と分離して、容器の底に沈殿する事を防ぐ目的で添加されます。

有機ベントナイト、有機塩類等が用いられます。


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