マルヤ通商株式会社
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塗装失敗の原因と対策

塗装中・塗装後に起こるトラブル、その原因、対策、処置を解説します。

ブツ
塗装時または塗装直後に、表面に付着したゴミなどの固形の異物が塗膜表う面にある状態。
外部からの付着物だけでなく、塗料に混入したり、保存中に発生した固形の異物により生じる場合もある。
ブツのイメージ
ブツ(ゴミ)
 <原因>

・車両の清掃が不十分。
・塗装作業場や作業服が汚れている。
・スプレーガンの洗浄が不十分。
・塗料のろ過が不十分。

 <対策>

・塗装の前に塗装車の水洗いと清掃を十分におこなう。特に各部品の隙間や内部のゴミをエアーダスターなどで取り除く。
・作業場内の鉄骨部、窓枠部、棚などのホコリをエアーダスターで取り除いた後、床面に水をまきホコリが浮遊しないようにする。
・ニ液型塗料を使用したスプレーガンは使用後の洗浄を十分におこなう。
・塗料を十分に攪拌し、ストレーナーでろ過する。

 <処置>
・塗装中→先のとがった竹ひごなどで注意深く取り除く。
・乾燥後→ペーパーを使い研磨しゴミを取り除き磨く。


メタリックムラ
ムラには吹きムラ、戻しムラ、流れムラがあり、ベース内のアルミ顔料が動き、不均一に並んで、ムラになって見える。
メタムラのイメージ
メタリックムラ
 <原因>

・塗装条件のバランスが悪い。(希釈率、エアー圧、吐出量)
・スプレーガンの空気キャップの詰まり、パターンのかたよりがある。
・スプレーガンの運行(パターンの重ね、ガン距離、スピード)が不均一。
・塗料粘度が低すぎたり、一度に厚く塗ったり、短時間に何回も塗り重ねると、流れムラや戻しムラになりやすい。
・蒸発の遅いシンナーの使用。
・クリヤーの塗料粘度が低い。
・クリヤーコートまでのセッティングタイムが短い。

 <対策>

・塗装条件のバランスを、使用塗料に適切な条件に設定する。
・スプレーガンの点検と清掃を行う。
・クリヤーの粘度を適正にし、フラッシュオフタイムを十分にとり、薄めに何回かに分けて塗装する。

 <処置>
・クリヤーの塗装前→セッティングタイムを十分にとって、使用塗料に最適な塗装条件バランスで、もう一度ムラ取り工程をおこなう。
・クリヤーの塗装後→乾燥前であればニゴリ仕上げによるムラ取りをおこない、クリヤーを厚塗りしないようにして仕上げる。
乾燥後であれば、研磨して、メタリックベースから再塗装する。


ハジキ・クレタリング
塗装後、塗膜上に小さなへこみや、小さな穴を生じる現象。
ハジキ・クレタリングのイメージ
ハジキ・クレタリング
 <原因>

・被塗面に水分や油分が付着している。
・異種塗料のスプレーミストやコンパウンドなどの研ぎカス、ホコリが乾燥途中の塗膜に付着した。

 <対策>

・工場やブース内を入念に清掃する。
・シリコン、ワックス、グリス、オイルなどで汚れている旧塗膜は、脱脂剤などで十分洗浄する。
また、タッククロスで、隅々まで十分に拭き取る。
・捨て塗りは、ハジキ止めの工程に従って進める。

 <処置>
・小部分の場合は、乾燥させながらキリ吹きをし、平坦な塗膜をつくる。
・全面に出た場合は、強制乾燥後、#800以上のペーパーで水研ぎし、再塗装。
・ハジキ止めを添加する場合は、使用方法に従い添加する。
・軽度の場合はポリッシングで修正する。


流れ・タレ
 <原因>

・乾燥の遅い塗料を一度に厚く塗りすぎる。

 <対策>

・スプレーガンの運行(パターンの重ね、ガン距離、スピード)を均一にし、一度に厚塗りしないように、セッティングタイムを取り、何回かに分けて仕上げる。

 <処置>
・ピンホールを出さないように注意して強制乾燥後、タレを研磨してポリッシングで修正する。
・修正できない場合は再塗装する。


ゆず肌
みかん肌またはオレンジピールとも呼びます。
塗膜の平滑性(レベリング)が悪く、みかんの肌の状態に仕上がる現象。
ゆず肌(みかん肌)
 <原因>

・気温に合わない、乾燥の速いシンナーを使用した。
・吹付塗料粘度が高すぎる。
・スプレーガン距離が離れすぎ。運行速度が速すぎ。塗り込み、塗り重ねの不足。
・微粒化の悪いスプレーガンの使用。
・ブース内の温度や、風量などの調整ミス。
・旧塗膜の研磨不足。

 <処置>
・よく研磨して、ゆず肌をとり、再塗装する。


ブラッシング
塗膜表面に空気中の水分が凝縮し、乳白色にくもる現象。
ブラッシングのイメージ
ブラッシング(白化)
 <原因>

・湿度80%以上の気象条件で塗装した。
・高温多湿時に乾燥の速いシンナーを使用した。
・スプレーガンのエアー圧が高すぎる。

 <対策>

・高温多湿時は乾燥の遅い良質のシンナーを使用する。リターダーの添加も効果的
・ブラッシングの傾向が出た場合は、ただちに塗装を中断し、ハンディーライトなど適当な熱源で温める。
・塗装直後に塗面を温める。
・スプレーガンのエアー圧をあまり高くしない(エアー圧が高いと、シンナーの蒸発が促進される)。

 <処置>
・十分に乾燥した後、研磨してから塗りなおす。
・軽いブラッシングは、コンパウンドで研磨する。


チヂミ
リフティングは、上塗り塗料中の溶剤で旧塗膜や下塗り塗料が侵され、シワやチヂミを生じる現象。
チヂミのイメージ
チヂミ(リフティング)
 <原因>

・被塗物に耐溶剤性の弱い塗料(アルキドエナメル、劣化した変成アクリルラッカーやクリヤー)が塗られている。新車の焼付塗装の焼きが甘い。
・耐溶剤性の弱い旧塗膜の上に、ポリパテをオーバーラップして付けた場合に上塗りをすると、パテ際のチヂミとなる。
・変成アクリルラッカーの上にウレタンやエナメル塗料を塗装した塗膜を再補修時に強い溶解力の溶剤系塗料で上塗りした場合、サンドイッチリフティングを起こす。
・二液性塗料のリフティングタイム中、または、硬化剤の配合が少ない塗膜の上に再塗装した。
・合成樹脂系下地が均一な乾燥状態にあるときに、溶解力の強い溶剤を使用して上塗り塗装した。
・変成アクリルラッカー、クリヤーが極端に劣化している。

 <対策>

・旧塗膜が劣化している場合はペーパーで研ぎ落とすか、剥離する。
・耐溶剤性の弱い旧塗膜の場合は、ウレタン系プラサフでブロック塗装し、強制乾燥後、次の工程に移る。
・耐溶剤性の弱い旧塗膜にポリパテをオーバーラップして付けない。フェザーエッジを大きくとって、基本に沿ってパテ付けをする。
・リフティングタイム中のニ液型塗料の塗装は避け、強制乾燥により十分に反応硬化させた後、再塗装する。
・旧焼付塗膜が乾燥不十分と思われる(耐溶剤性不足)場合は、完全焼付乾燥するか、剥離してから塗装する。
・旧塗膜の正しい判定、またはシンナーのテスト吹きをおこなう。

 <処置>
・軽いリフティングは旧塗膜に対するシンナーの浸透を少なくし、再リフティング防止のため、薄く塗り重ねて上塗り塗装する。
・ひどい場合には、剥離して再塗装する。
・チヂミ止めシーラーは、安易に使用すると、クレームの原因になるので注意する。


パテあと
上塗り溶剤によって乾燥不十分なパテが軟化して起こる現象。
耐溶剤性の弱い旧塗膜とパテとの膨潤差によっても生じる。
パテあとのイメージ
パテあと
 <原因>

・パテが乾燥不十分のまま上塗りをおこなった。
・ポリパテのフェザーエッジが耐溶剤性の弱い旧塗膜にかかっている。
・樹脂と顔料のバランスがくずれたプラサフ(攪拌不十分で、顔料分だけが沈殿したもの)を吹き付けし、その上に上塗り塗料を一度に厚塗りした。
・急激な乾燥。

 <対策>

・パテには硬化剤を正しく入れ、十分に乾燥させる。
・耐溶剤性の弱い旧塗膜の上にパテを塗らない。
・プラサフを一度に厚塗りしない。

 <処置>
・ひどい場合は、十分に乾燥した後、研磨してから塗り直す。または、剥離して再塗装する。


ニジミ
 <原因>

・旧塗膜にニジミが発生する原色を使用した。
・パテの乾燥が不十分。
・被塗面にタールやピッチなどが付着している。

 <対策>

・塗装の前に一部試し塗りをし、ニジミが出るようであれば、その塗膜を研ぎ落とすか、剥離する。
・パテの乾燥を十分にする。
・被塗面のタールやピッチなどは、きれいに清掃して取り除く。

 <処置>
・軽度の場合は、#400〜#600で水研ぎし、二液型サーフェサーを塗装し、再塗装する。
・ひどい場合は。剥離後に再塗装する。

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