マルヤ通商株式会社
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調色の基礎知識2


●塗装の条件と色相について

塗装の時にいい加減な塗り方をしていたら、せっかく調色したものでも、塗る度に色が変わってしまったり、また実際に車体を塗装したりする際に、色が変わってしまって失敗したりする原因ともなります。

最近の「2K」タイプの塗料や、海外メーカーの塗料などのように、従来使われてきた標準ウレタン塗料と比べ、塗装条件によってあまり色のぶれない、塗りやすいタイプの塗料もありますが、どのような塗料でも、塗り方が悪ければ色は変わってしまいます。

そこで、塗り方の基本的な部分について説明していきます。
指(ヘラ)塗りとスプレー塗りある程度色が合うまでは、指や撹拝棒などでのぱして色を比べ、ある程度まで寄ってき
たら、実際の塗装と同じ条件でスプレー塗りを行って色を比べて調色していくと思います。

このとき、基本的な事として、指で塗ったときと実際にスプレーしたときで、どのような色の変わり方をするのか知っておく必要があります。
指で塗った場合には、スプレー塗りよりも乾燥が早く、また粘度も高いので、ソリッドはより淡く、メタリックやパールは十分にアルミが安定しないため、色は濃いめになります。
ただ、色によってその変わり方に違いがありますので注意が必要です。
最近の塗色では、濃色でパールのみで発色しているものや、方向性の強い原色を使っている場合が多いので、実際にスプレーしてみないと、実際の色が分かりにくい塗色もありますので、指(ヘラ)塗りを過信するのは失敗の元にもなります。



●塗装条件による色の変化

ある程度色が近づいた時点で、シンナーで稀釈し、スプレーで塗装するわけですが、このときの条件によっても色が変わってしまいます。
基本的には塗装した時の塗面がドライなのかウエットなのかで色が変化するのですが、特にメタリックでは正面とスカシの明るさが大きく変わってきます。

これを整理すると、次の表のようになります。

塗装条件の項目 正面が明るくなる
(スカシが暗くなる)
正面が暗くなる
(スカシが明るくなる)
影響度合
シンナーの蒸発速度 早い 遅い
シンナーの希釈量 多い 少ない
ガンのエアー吐出量 多い 少ない
ガンの塗料吐出量 少ない 多い
ガンと塗板の距離 遠い 近い
塗装時の温度 高い 近い

基本的には上に挙げたような変化をしますが、当然の事ながら、塗料の性能を維持し、塗り肌を整えるためにも、塗料メーカーの仕様に沿ったシンナー・硬化剤の比率は守って、調整範囲内で希釈する必要があります。


●塗り板と実際の塗装

特に比色のために塗り板に塗装する場合には、塗り方が雑になったり、一度に厚塗りしてしまったりするので、注意が必要です。
また、比色のために、クリヤーを塗装した時に、そのクリヤーに比色用の缶スプレーを使ったり、硬化剤を入れないで使った場合には、クリヤーの上に再度塗り重ねると色が変わってしまうこともあるので、注意してください。


●硬化剤と比色

もう一つ、細かなことですが、一般的に2液型の塗料の場合には、硬化剤を配合しないで、主剤だけで塗装した場合には若干色が濃くなる傾向がありますので、最終的な色の確認には必ず硬化剤を規定量入れた塗料でテスト吹きを行ってください。
ただ、硬化剤をいれたまま長時間放置すると、塗料が反応して充分な性能が得られなくなってしまう事もありますし、また、シンナーを入れたまま長時間放置することで、溶剤のバランスが狂ってしまったり、塗装粘度が変化したりしますので、色を見るためにスプレーする場合には、比色のために一度塗装する分だけ計量し、その都度シンナーと硬化剤を
計量して調合することをお勧めします。
面倒なようですが、実際の作業時間にはほとんど影響しないどころか、塗装時の条件が変わらないので色も安定しますし、塗料が反応してしまってクレームが発生するのを防止することになりますので、かえって時間短縮にもなると思います。

イサム塗料カラーセンター作成
「調色の基礎知識」より


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