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●塗装工程の説明● |
木材の塗装に限ったことではありませんが、塗装を上手に行なうには、塗装の各工程をじゅうぶんに理解しておくことが非常に大切です。 木材塗装の基本工程は、つぎに示すとおり、素地調整・着色・目止め・中塗り・補色・上塗り・みがき仕上げの各工程からなっています。 これらの各工程の特質、要点などにっいて第1エ程の素地調整から順に考えてみましょう。 注:8までは透明仕上げ、9で不透明仕上げに触れます。 |
◆1.素地調整 |
塗装がうまくいくかどうかは素地調整の良否に大きく左右されます。 一般に、素地調整の重要性は、だれもが知っていることですが、その割にじゅうぶん管理が行なわれていないことが多いようです。 材面が平らできれいになっていれば、塗装が楽にできるばかりでなく、塗装費が安く、しかも丈夫な塗膜を得ることができます。そのためにも素地調整は時間をおしまずにじゅうぶんに行う必要があります。 この工程の主な作業は、素地研磨で、かんな目やさか目などのでこぼこを取り去って、完全なへいたん面を作ること、材面を、一皮むいて汚れの無い生地をだすために行います。 素地研摩は、下研磨と仕上げ研磨の2段階に分けて行なうのが効果的で、下研磨には50〜100のサンドペーパー、仕上げ研磨には、150〜180のサンドペーパーを使うのが適当です。 手作業で素地研摩を行なうときは、サンドペーパーに、コルクや堅いフエルトをはった木のブロックまたは硬質ゴムのブロックをそえます。研磨の方向は、かならず木理と平行にします。木理にクロスしてぺ、パーがけをすると、とぎあとが残り、着色したときにムラになるので、とくに注意する必要があります。 機械(サンダー類)を用いて研磨する場合は、ぺ一パーの番手をややあらくします。 ベルトサンダーの周速は普通1秒間に22mないし25mが適当とされています。 研磨を終った面は圧縮空気を吹き付けたり、硬い毛のブラシを使って導管の中までじゅうぶんに清掃します。 木材は同じ種類の木でも色がかなり異なることがあります。事情によってこれらの材をまぜて使うときは漂白し、素材の色を統一してから塗りあげることが必要です。 |
点検摘出しなければならない項目 | 摘出不備の場合に 発生する欠陥 |
とるべき処置 | ||
1 | 平たん度 | かんなまくら・さがめ・けはだち | 仕上げ精度の不良 着色ムラ |
生地研磨 水引研磨 |
2 | 傷 | 刃物による傷 治具のおしあと 打ち傷・すり傷 |
同上 | 温・湿布 水引き研磨 |
3 | 汚れ | 接着剤の残留 機械油・手あか・ススの付着 |
着色ムラ 塗料の付着不良 ふくれ・白化 |
温・湿布→研磨 シンナー・キハツ油などで 拭き取る |
4 | その他 | 接合部のスキ 合板のうき 突き板のワレ |
外観不良 | 埋木・こくそ 接着剤注入 廃却 |
◆2.着 色 |
木材は天然固有の平体的組織が材面に現われ、木理の美をもつ貴重な材料です。したがって、木材の着色は天然にそなわった木材固有の色を生かしながら、これらをさらに美しく補色するのが原則で、材の色とかけはなれた着色を行なうと不自然になり、材質感を殺してしまうことになります。 しかしながら、近年、木理、材色の美しい銘木が少なくなって、低級木材を使用せざるを得ない状態から、製品のデザイン意図にしたがって、一定の色調に仕上げる着色が塗装工程上重要となってきています。 木材の着色には、生地着色、目止め着色及び中間着色の3種類の方法があります。 生地着色は、木材の生地に染料や透明性の顔料を浸透させる方法で、材によく浸透し、透明度も高く材質感をよく生かすことができます。 目止め着色は、目止め剤に顔料や染料を添加し、導管その他の細胞組織の間際に充填して着色する方法で、着色効果がよく、木理を鮮明に美しく表現することができます。 塗膜着色は、シーラーや中塗り塗料に染料や顔料を加えて、下塗から上塗りまでの間で着色する方法です。色皮膜が厚いかまたは濃色であると透明性にかける欠点がありますが、生地着色にみられる吸い込みむらなどがない点から、一定した着色ができ、量産塗装に最も多く用いられる方法です。ただし、塗装着色の本来の目的は、生地着色の補正や、生地着色では出しにくいハイライトまたはボカシ効果を出すのに用いるものです。 着色作業の方法には、おもに刷毛塗りとスプレー塗りがあります。 一般に、水性ステイン・油性ステインなどは刷毛塗りで行ない、着色むらを作らないように布でふき取りながら仕上げます。 また、NGRステイン・ピグメントステインおよび中間着色に用いられるシェディングステインなどには、スプレー塗りが適しています。この場合、できるだけ口径の小さいスプレーガン(φ1o程度)を用い、特に微粒化に留意してスプレーガンを均一に運行させることによって、着色むらを作らない塗装ができます。 |
ステインの種類 | 生地研磨性 | 水引研磨面 | |
水性ステイン | 手触り | × | △ |
染着性 | 導管の中まで染着しない | ||
万能着色剤 | 手触り | ○ | ○ |
染着性 | 導管の中までほとんど染着 | ||
油性ステイン | 手触り | ◎ | ◎ |
染着性 | 導管の中まで染着 |
◆3.下塗り |
下塗りは、着色剤が上塗りの塗料中ににじみ出るのを押さえたり、目止め作業の際に着色が剥がれたりするのを防ぐ働きがあります。 また捨て塗りとして吸い込みむらを止めて、材面を均質化すること、自由状態にある木繊維を固めて安定化することなど、幾多の目的をもっています。 したがって、下塗りは材面へのぬれ、浸透性のよいことが必要となります。 素材強化の目的には、ポリウレタン樹脂系シーラーが最もすぐれており、たとえぱ、ラッカー仕上げに用いれば素材のワレ、付着性などに優れた塗膜性能が得られます。下塗塗料を選ぷ場合に注意すべきことは、上塗塗料の溶剤に可溶な下塗りを用いた場合(特に中塗りにポリウレタン樹脂系および、酸硬化アミノアルキド樹脂系を用いる場合)乾燥中に塗膜にリフティングを生じることがあります。 このような場合は、下塗塗料にも中塗りと同じ品質のものを用いることが必要です。 |
◆4.目止め |
目止め目的は、木材の導管や繊維の空間をうめ、塗面を平滑にするために行なわれるもので、さらに上塗り塗料の余分な吸収を防止すること、一定の色彩を与えて木理の美しさを強調することなど、塗膜の鏡面平滑仕上げにとって重要な役割をもっています。 目止剤の種類としては、水性目止め・油性目止め・合成樹脂系目止めなとがあります、目止め作業を行なうには、まず缶内の塗料をよくかきまぜ、シンナーでうすめて塗付します。 目止剤を塗付する前に材面のゴミ・サンダー粉が導管内にのこっていないよう注意しましす。刷毛塗りの場合は、導管に押し込むように塗り付けやすい固めの刷毛(馬毛)が適しており、木理と平行に塗付します。塗りおわったところの溶剤が揮発または吸収して光沢をうしなった時期をみて軟らかい布を用いて木理と直角の方向、またはまわしながら摺りこみます。 さらに、他のボロ布で拭きあげます。 隅の部分にのこった目止剤は、ブラシや棒で完全に掃除しておかなければなりません。 目止め作業は、塗付→すり込み→拭きあげ→掃除のタイミングが重要です。導管の大きなラワン・ナラ・タモ材などは、1回の目止め作業では目やせのない完全な目止めは困難で、繰り返して行なうとよい結果が得られます。 なお目止めと同時に着色も行なえる着色目止剤もあります。 |
目止め材の種類 | 乾燥性 | 作業性 | 目止効果 | 耐久性 | 耐水性 | 付着製 |
水性目止材 | ○〜△ | ○〜△ | ○〜△ | △ | △ | ◎ |
油性目止材 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
ラッカー系目止材 | ◎ | △ | ○ | ○ | ○ | ○ |
合成樹脂系目止材 | ○〜△ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
◆5.中塗り |
中塗りは、塗膜に肉持ち感をあたえて、しかも被塗膜をいっそう平滑にするためのものです。 透明仕上げの場合には、サンディングシーラーを用い、不透明仕上げの場合には、サーフェサーを使います。 塗料の性質としては、両者ともに肉持ち感がよいこと、研磨作業性のよいことが必要です。 中塗りの研きは、平滑な塗面にするため#240〜#320サンドペーパーに当木をつけて、完全な平滑面に研き上げます。 なお、中塗りの塗膜を極端に厚く残しますと、塗料の種類によって強度が低くなるものもあります。 |
◆6.上塗り |
上塗りはいずれの塗装工程においても最終工程であり、光沢・色など仕上げ外観がよくなければなりません。 また、同時に塗膜の硬さ、ワレ抵抗性、耐久力などの塗膜性能すべてに優れていることが必要です。したがって、特に用途適正に応じた塗料品質を選び、入念かつ正しい塗装方法で仕上げなけれぱなりません。 薄膜で優雅な仕上げにはラッカー系、比較的安価な簡易工程としては酸硬化アミノアルキド樹脂系、耐久力が特に要求される場合にはポリウレタン樹脂系など、その用途に合せて使い分けを行ないます。 また工程短縮のためにカラークリヤー、カラーフラットクリヤーなどを用いることもあります。 |
◆7.と ぎ |
とぎは下塗り・中塗り・上塗りなど、すべての塗装工程間に付随している作業であり、その研磨作業個所によって、ケバとり・ゴミとり・平滑な塗膜を作るためなど、異った目的をもっています。 たとえぱ、下塗りのとぎを行なう場合は、粗目のサンドペーパーでケバとりを行ない、表面を平滑にする目的をもっており、#150〜#240程度のぺ一パーを使用して作業を行ないます。 そのほか、中塗り、上塗り後のとぎも、塗膜を平滑にすることを目的とし、原則として塗膜がじゅうぶん乾燥したのちに、巾木を使用しできるだけ木理と同じ方向に、常にとぎの程度を見きわめながら研磨乍業を行ないます。 |
◆8.みがき |
仕上り塗膜に、より光沢を必要とする場合は上塗塗膜の乾燥後にみがき工程を行ないます。 この方法には布地を用いて行なう手みがきと、ポータブルボリッシャーを用いる機械みがきがあります。 まず塗面の平滑性を得るために、一般には耐水ぺ一パー(#400番以上)を用いて石けん水とぎ・ガソリンとぎ・空とぎなどを行い、つづいてポリシングコンパウンドを水または白灯油でわずかにうすめて、塗面を塗り付け、ネルまたはフェルトなどの傷のっきにくい布でツヤの出るまでみがきあげます。 ただし一カ所を集中的にみがくと塗面が発熱し、傷がつきやすいので、広く順次みがくように心掛けます。 充分なツヤが得られたら新しい布を用いて固着しているみがき粉を取り除き最後にシリコンワックスクリーナーなどで拭き上げます。 |
◆9.不透明塗装 |
不透明塗装も非常に用途が広く家具はもちろん建材・楽器・運動用品に到るまで数多く用いられています。 この仕上げは、異なった素材をデザインの意図にしたがって一定の色合いに統一し、色彩のアクセントにより商品に近代的感覚を与える目的を持っています。 たとえば、黒塗り仕上げのピアノは、その色彩によって重厚感がいっそう強調され、また、色彩豊かな配色で塗装されたスチールギターなどは軽快で、近代的な感覚をあたえる特長をもっています。 不透明塗装の工程には、生地を覆いかくして仕上げるため、顔料分の多いパテ・サー.フェーサーが用いられ、したがって素材の凸凹をうめることが容易です。 |
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